みなさんこんにちは。bonjour.どぅどぅです。
筆者、今は休職中ですが保育士です。
筆者が新卒で入った前の職場は、すごく園児と保育者の「主体性」を大事にする保育園でした。園のHPにもそう書いてありますし、園長先生も「主体性」という言葉をひんぱんに使いながら職員と活動内容を決めたりしていました。こうして「主体性」を大事にしている保育園は多いと思います。
でも、日々目まぐるしく働く中でふと心に湧いてしまった、「主体性って意味あるの?」という呪いの言葉。
この記事では、筆者がいろんな文献を調べて「主体性がなぜ大事とされるのか」を自分なりに納得するために書きました。ぜひご一読ください♪
「主体性」、意味ある…?
「主体性」を信じてがんばった
新卒ぴちぴちの筆者は、自分なりに「主体性の保育」について考えて、主体的に、0歳児の担任をはりきってやっていました。
子どもが遊びを始めていたら、予定が別にあっても、その遊びが広がるような活動に変更したり。
環境構成を工夫して、遊びが繋がる(筆者は心の中で遊びのイノベーションと呼称していました)ようにしたり。
制作遊びでは、好きな色や形を選べるようにたくさん準備したり。
子どもたちが嬉しそうに遊んでいたら筆者も嬉しかったですし、遊びのなかで成長が見られると、おっほぉ!とにやけていました。でも、余裕のないときは思ってしまうこともあります。
この私のがんばり、将来の子どもには影響するの?意味あるの?
と。
「主体性」への疑い
もちろん、そのときの目の前の子どもが楽しいと感じでいたら、それで十分ではあります。
でも、これは現場にいた人しか分からない感覚かもしれませんが、子どもの「主体性」を実施するために、ただでさえ超忙しい日々の業務にプラスアルファで考えるのって、めちゃくちゃ大変です。
なのに、結果が出ているのかよく分からず、正解なのかもわからない…。
もやもやしながらの保育だと、保育者の「主体性(=この場合、やる気)」が削がれてしまうこともあるかもしれません。
「主体的な保育」で育った子どもはどうなる?
調べてみた
「主体的な保育」が将来にどうつながるのか、直接的に説明された論文はありませんでしたが、筆者なりにいろいろ調べて、なんとか繋げて紹介してみたいと思います。
みなさまが今している保育が、子ども将来のためになると信じられるように!
反対に、マルトリートメントだと…
まずは「主体的な保育」と背反することとして、「良くない保育」=「マルトリートメント」について。
少し過剰な例にはなりますが、まず、お母さんが鬱になってしまい、ネガティブな感情をコントロールしづらかったり、笑顔の表出が少なかった場合。この場合、子どもが小学校入学時に精神疾患を発症するリスクは4倍、60%の子どもが過剰に不安を抱えたり、行動障害(暴力・反社会的な行動をする)が出たりします。
またさらに過剰ですが、DVを受けた・見た子どもは、脳の発達がうまくいかず、脳内の情報伝達に支障が出ます。その場合、コミュニケーションに支障が起きたり、感情障害(行動障害や抑うつ)が発生しやすくなります。
マルトリートメントは乳幼児期のみであったとしても、子どもの生涯にわたって悪影響を及ぼすことがわかりました。
参考:『赤ちゃんの心はどのように育つのか』今福理博(2019)
「主体性」から「セルフコントロール」へ
子どもの最終形態は大人ですが、では「良い大人」ってどんなイメージでしょうか。犯罪とは無縁で、継続的な努力ができて、大切な人のために動くことができる…。そんな感じですね。
そういう大人になるために必要なのが「セルフコントロール」です。子ども(小中学生)に関しても、セルフコントロールが高いほど、飲酒や喫煙、暴力といった問題行動が少ないです。
大人のセルフコントロールは、幼児期の実行機能(=自分で考えて行動に移せること)と、とても深く関連があることが分かっています。
ここで注目したいのが、小学生高学年~青年期の実行と大人のセルフコントロールには、あまり関連が無いということです。
つまり、セルフコントロールのできる人は、小中高校のときよりもむしろ、幼児期によく実行機能が育っていた人だということです。
幼児期に自分で考えて自分で行動することが大事
『社会心理学研究』第39巻2号「子ども用セルフコントロール尺度の作成と妥当化:小中学生を対象とした検証」(2023)
Preschool executive function and adult outcomes: A developmental cascade model. Developmental Psychology, 57(12), 2234–2249. https://doi.org/10.1037/dev0001270
「主体的な保育」の指標
子どもが「実行機能」を伸ばすために、私たちができること、それが「主体的な保育」の環境を作ることです。
保育所保育指針には、子どもが主体的に行動するためには、大人の見守りが必要だとあります。
保育士等との信頼関係を基盤に、一人一人の子どもが主体的に活動し、自発性や探索意欲などを高めるとともに、自分への自信をもつことができるよう成長の過程を見守り、適切に働きかける。(保育所保育指針第2項イ(3))
これを踏まえて「主体的な保育」ができているか否かを示すために、保育者の「見守り」の程度を指標として調べた研究があります。
それによると、よく見守り=主体的な保育ができている保育者は「個人的達成感」や「他の保育士との連携」が強い、という結果でした。
ようするに、安心して働いている保育者の方が、良い保育を提供しやすい、ということですね。また、海外の研究結果とは異なり、日本の保育者は、資格取得時の学歴よりも、勤続年数が多い方が、よい保育を提供できていることも分かったようです。
必死になにかやるよりは、楽しく、気長に関わるのがよいということ!
参考:『人文科学研究』第16巻「子どもの安心安全を守り育む保育実践尺度(FCHWS)の作成:見守り概念とモニタリング理論を踏まえて」(2020)
つまり「主体的な保育」は「予後がいい」
3つの文献から、
・「マルトリートメント」は、子どもの脳の発達に重大な悪影響を及ぼす
・幼児期に、実行機能=よく考えて主体的に動く ことがよくできていた子どもは、成人してからのセルフコントロールが上手くいく
・主体的な保育は、保育者の適切な見守りによって行われる。よく見守れる保育者は、個人的達成感が強い。また、保育士歴が長い方が上手い傾向
この3点がわかりました。
つまり主体的な保育は、スラングを使いますが、保育者・子ども両方に対して「予後が良い」というわけですね!
さいごに
読んでいただきありがとうございました。
保育所保育指針にしても、保育園にしても、保育の最終目標は「児童期に育ってほしい10の姿」であり、大人までではありません。保育園は幼児期までしか見ないので当たり前ですが…。
でも筆者の個人的な保育の最終的な願いは、傲慢かもしれませんが、「大人になったときに、この子たちが健康で幸せに生きられるようになる」ことでした。人間、大人の時間の方がかなり長く、しんどいことも多いので。
この目の前の、めっちゃかわいいかずまくん(仮名)が、加齢臭のただようオッサンになったとしても、少しでも心豊かなオッサンであればいいなあと思っていました。
今回の記事を書くにあたっていろいろ調べて、筆者のがんばりはきっと、子どもたちの将来に良い影響を与えていたということが分かって、ちょっと救われたような気がしました。
でも反対に、頑張りすぎて消耗している状態は、子どもたちにもきっとバレていて良くなかったんだろうなと思います。(かといって、消耗しないように働く、というのも難しいですが…)
筆者、いまは子ども関係で新しい仕事を探している最中ですが、保育者も子どもも、主体的にのびのび過ごせているような施設で働けたらいいな~と思います☆
みなさまもくれぐれも無理せず、楽しく保育できますように!
